熊谷もも （１３才・♀）

長いつき合いである。我が友『もも』も、もう１３才が過ぎた。
生まれてスグにミルクのおまけがついて、ご近所から
我が家にやってきた。あまり小さいので小生のフェルトの帽子
の中で暮らしていた。だれでもそうだが、小さい時はかわいく、
本郷さん とこの裕也君（当時、小一）が目を細めた。
その彼も今年は大学生となった。 年月である。

『もも』はお出かけが好きで車が好きだった。
ダッシュボードに優雅にねそべって どこにでも ついて来た。
初夏の磯遊び、夏の海水浴、山菜取り、きのこ狩り
渓流釣り、と近郊で行かない場所はないくらいなもんだ。
泉ヶ岳の遊歩道を二人で歩いたこともあった。
観光客が皆、目を丸くしていたのも楽しい思い出である。
災難にも二度あった。二回とも場所は山の中。
命からがら家に戻った。幸い（強運なのか）
みごとに復活した。人生に運も必要である。
もちろん健康面も二重丸であった。

ただ、最近、お歳を召したせいか、大好きな散歩
も渋る様になってきた。
天気の良い日は催促するので、どうも年寄りの知恵
がついたのかも知れない。
どうやらこちらの動きを読まれている様子だ。
まあ　それもいいか、長いつき合いである。
まだまだ続きそうなので
『これからもよろしくお願いします。』
と声をかけたら、大きなあくびをした。

文：熊谷幸一郎


次回は渡辺さんちのまねきねこ『こなた』ちゃんの予定です。
どうぞお楽しみに！！